個体・生態系

個体・生態系

生物は多様な戦略で環境に適応しています。進化によって得られた見事なまでの仕組みを生き物から学んでみませんか?

複雑な遺伝形質のメカニズム

2電極を架橋とする単原子鎖とその電子密度

カイコの繭には白いものばかりでなく黄色や緑色をしたものもあります。その緑繭の成分であるフラボノイドは、繭を緑化させると共に、有害な紫外線や酸化作用から蛹を守っています。この成分は桑葉を由来とし、カイコ体内で様々な作用を受けて繭層中に排出されます。また、その過程には複数の遺伝子が関与しているため、遺伝実験により複雑に緑色程度の分離を起こします。我々は、染色体を置き換えた特殊な系統を用いて、その一つ一つの遺伝子を同定・単離し、“何が?”“何処で?”“どのように作用するのか?”を調べることで、緑繭化メカニズムの全容を解明しようとしています。


休眠と休眠覚醒の分子メカニズム

自己組織化を利用して作製した銅ナノケーブル

動物の多くは生息環境が一時的に生育に適さなくなった場合、環境が好転するまで耐えるため「休眠」や「冬眠」を行いその環境に適応しています。カイコガの卵休眠は、他の多くの昆虫のような環境条件の悪化の結果やむをえず一時的に発育を休止する休眠ではなく、不良環境が訪れる遥か以前の生育にとって不都合のない良好な環境のもとで計画されています。その休眠は、非休眠時にはみられない特別な代謝系を創出することにより成されています。この魅力あるカイコガの休眠・非休眠がどのように決定されるのか、また胚子発生がどのように停止・進行するのか等の分子メカニズムの解明を最終的な目的として、主に生化学、分子生物学、免疫組織化学的手法等を駆使して研究を行っています。


植物の多様な生活史戦略

心浮き立つ春の針広混合林の調査

心浮き立つ春の針広混合林の調査


森で出会ったヒナチドリ

森で出会ったヒナチドリ(日本版RDB絶滅危惧Ⅱ類)

植物は花粉と胚珠が受精し、種子を作って増えます。さらに、タケのように地下茎を伸ばしてタケノコで増える、といったようなクローン繁殖を行うこともあります。森林の下層には、こうしたクローン繁殖を行うクローナル植物が繁茂しています。こうした植物の多様な繁殖様式を明らかにするととともに、他の生物(ほにゅう類・昆虫・ウイルスなど)とどのような相互作用を結んでいるのかを探っていきます。フィールドワークに加えて遺伝子実験や栽培実験等を行いつつ、植物の生存戦略とその進化・多様性に迫ります。こうした知識をもとに植物の保護・森林生態系の保全にも取り組んでいきます。